アパート・マンションの階段等での転倒事故は誰の責任になるの?
階段で転んで怪我をしたからといっても転んだ方の自己責任と思いますが、
そのアパートの外階段は以前から手すり部分が
ぐらついているとの指摘を受けていた部分で、
どうやら高齢の男性入居者は手すりが根本から外れ
バランスを失い階段から転げ落ちたようです。
高齢入居者といえども健康的な生活を送ってた。
全治2週間、額を少し打って出血したのと
腕と足に打撲及び擦過傷を負った程度で、
精密検査をしましたが、頭には何ら問題はありませんでした。
とりあえず階段の半分余り下りたころのアクシデントで
大きな事故にはならなかったのですが、
ただでさえ足腰が弱くなりかけている高齢者の上、
しばらくこの状態では杖を使わないと歩行や階段の上り下りはできなくて
隣県に住む娘さん夫婦に報告したようです。
次の日曜日、娘さん夫婦が見舞いがてら父親の住居を訪ね、
現場の階段を見ると手すりが微妙に外れていて、
当日階段を下りる際バランスを崩して転倒したことを父親からも聞き、
義理の息子さんが「建物の階段の手すりが大きくぐらついていたのが原因で
転げ落ち怪我を負ったので治療費その他の損害賠償してほしい」と
貸主のもとにやってきました。
大家さん、建物の維持管理は大切ですね
この建物はバブル期が始まるころの昭和終期に建てられたアパートで、
内装のリフォームや設備の修理は故障する度に補修をしていました。
しかし木造モルタルの外壁は汚れていてもそのままで、
当然外階段の補修もしていなかったようです。
ただ、その分近隣相場価格と比較し、家賃の設定を低く抑え
高齢者には人気のある物件だったようです。
しかしながらこの場合には、賃借人の転倒事故が
アパートの階段周りの設置状態や保存等の瑕疵に起因すると考えられ、
貸主は工作物責任を負うことになるようです。
これは民法717条1項で規定される
「土地の工作物等の所有者の責任」のことを言います。
この件については、息子さん夫婦と貸主さんとで和解できましたが
賃貸住宅経営を行うにあたっては、
貸主にとって大変大きなリスクを伴うことがありますので、
大家さんは建物の各部の定期点検と予防措置は、
必ず行っていただきたいと思います。

関連した記事を読む
- 2021/04/16
- 2021/04/14
- 2021/04/13
- 2021/04/10